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カレン素数の日記

1000文字程度の文章をぼちぼち更新しています。暇つぶしの読み物にどうぞ

16歳とピアス

私が中学生だった時、どうにもこうにもピアスを開けたくなったことがある。世界ふしぎ発見かなにかで部族の中の決まり事としてピアスを開ける文化があることを知って影響されたのだ。

近所の、女医が優しいことで有名な皮膚科でピアスを開けてもらおうと調べたら、16歳以上でなければならず、未成年であれば保護者の許可がいるとのことだった。それでは16歳の誕生日にピアスを開けるのだ!と夢を見て、母の了承も得た。

しかし、入学した高校が妙に自称進学校だったためか、ピアスを開けている生徒は一人もいなかった。校則で禁止なのは知っていたが、どうせ高校生なんてみんなピアスぐらい開けているものだろうと思っていたのに、大きな誤算であった。

これでは、私のような陰の者がピアスを開ければ目立ってしまう。それは避けなければならなかった。

私の誕生日は3月31日ととても遅く、16歳になるのは高校1年生を終えて春休みの頃だった。高校に入った1年で悶々と悩み、どうにかこの1年でピアスホールがあるのが主流にならないだろうか、などと思ったのだがそうも行かず、結局16歳になっても開けることはなかった。

 

それからピアスに対する憧れのようなもやもやしたものがすっかりなくなってしまって、忘れていた。

高校を卒業してから、大学生になるためにとりあえず髪を茶髪に染めた。もともと黒髪ではなかったのでたいして変化がなかったのだが、なかなか気分があがったので父親に無言で髪染めたぜアピールをした。髪を手で払う動作をめちゃくちゃしてアピっていたら父は、「あれ、ピアス開けたの?」と言った。父の目には「見る」機能は備わってないのかしらと驚いた。髪色が変わったことには気が付かず、ピアスホールのない耳たぶには穴があると見たらしい。

しかしその時思い出した。そうだ、3年前の私はあんなにもピアスを開けたがっていたのだ。

いざピアスを開けにゆかん。とは思ったが過去のやる気はどこへやら、私は怠惰になってしまっていた。

すると中学時代からのとても仲の良い友人から、「一緒にピアス開けん?」とLINEが来た。

ベストタイミングだったのだがニートを満喫していた私は面倒くさくてウンウン唸って悩んだ。でもまあなんだかんだと了承した。

結局近所の皮膚科ではなくネットで見つけた駅前の1番安くで開けてもらえる耳鼻科で開けることに決めた。行ってみたらとても暗い廊下の先の、爺と婆しかいないところだった。

 

開けるのは一瞬だった。ぱちん、ぱちん、と両耳たぶに1箇所ずつ開けてもらって、簡単な説明を受けて帰った。友人は開ける前から怖い怖いと泣き言を言っており、開けたら開けたで痛い痛いと言って泣いていた。面白かった。

 

さあこれから可愛いピアスをつけるぞ、なんて思っていたけれど面倒臭がりの私は付け替えるのが面倒でほぼ毎日同じものを付けている。

始めは軟骨も開けようかな、なんて思っていたけれどケアは面倒だし、それによくよく考えたら耳たぶに1つずつのほうがお上品であると思ったので多分もうこれ以上は開けない。

でもバキバキにピアス開けてる人を見るのは大好き。ボディピアスとか見るのも好き。

 

でもたまにふと我に返って、「私、耳たぶに穴なんか開けて、なんでアクセサリーをぶら下げてるの?」と思う。自傷行為でもないのに(私の場合は)、わざわざ穴開けるなんて、なんとも面白い文化であるなあと思う。