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カレン素数の日記

1000文字程度の文章をぼちぼち更新しています。暇つぶしの読み物にどうぞ

猫は人ではなく家につく

私は大学にも行かず、バイトもせず、毎日毎日、来る日も来る日も家に引きこもって生活している。

この生活でひとつ、大きな変化があった。

猫が私になついたのである。

 

今年で8歳になるうちの猫は、今まで私と床の区別がついておらず、寝転んでいたら踏んでいくのは当たり前、尻だろうが背中だろうがあちこち噛み付くといった具合で、嫌われてるとは言えずとも好かれてはいなかった。

それがどうしたことだろう。引きこもり生活を始めるとすっかり私になつき、他の家族がいても私の膝の上で丸くなり、私に撫でてもらいたくて甘えた声で鳴き、私のベッドで一緒に寝る。私の両親が名前を呼んでも振り向きもしないが私が呼ぶと、とてとてと可愛い足音を立てて近付いてくる。

ついこの間まで考えられなかったことが次々と起こっているのだ。

 

引きこもり生活を始める以前は、猫は母に非常になついていた。私に抱っこされると体をぐねんぐねんさせて逃げ出していたが、母に抱っこされるとじっとおとなしくしていた。寝る時も母と一緒で、お昼寝も母のそばだった。

最近はというと、母に抱き締められると逃げ出し、全身を毛繕いするようになった。母は私に嫌味を言うようになった。

 

私が大学やバイトに行っていた頃は、家族の中で家にいる時間が最も長いのは母だった。

それが私の引きこもり生活によって、圧倒的に私が家にいる時間が長く断然のトップに躍り出たわけである。

猫がなつく人間を変えたのは、どう考えてもこの「時間の差」であると思う。

「猫は家につく」とはよく言ったもので、まさにその通りのことが起こっているようだ。彼にとっては引きこもりの私はほぼほぼ家と同じようなものなのだろう。