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カレン素数の日記

1000文字程度の文章をぼちぼち更新しています。暇つぶしの読み物にどうぞ

ドッペルゲンガーがいる

大学に入学してはや1年。

どうやらこの大学には私のドッペルゲンガーがいる。しかも2人。

 

1人は正体が判明している。 私の友達と同じサークルに入っている女の子だった。

とにかく顔が似ている。友人が私だと思って声をかけそうになった、とかいう話を何度も聞いた。

髪色や服装が全然違うので判別は容易だが、当の私ですらその子の写真を見せてもらった時、最初普通に「これ私やん」ってなってしまった。それくらいには似ている。

世界に3人は同じ顔の人が存在する、なんて聞くけれど、身近にいるとなると不思議な気分だ。

彼女は私と違って真面目で優しい女の子だそうで、なんとも妙にいたたまれない気持ちになるけれど、いつか仲良くなれたら写真を撮ってほしいなぁと思っている。

 

そして正体不明のドッペルゲンガー2体目。

こちらは私自身が見たことは未だ無い。友人からの目撃情報がちょくちょくある。それらが全て同一人物であるとは限らないので、もしかしたらうちの大学には「私」がたくさんいるのかもしれない。

あるひとつの目撃情報を書く。

とある月曜日、私は三限から授業なのでお昼を食べてから学校へ向かった。いつもの号館のエレベーターに乗り込むと先に友人が乗っていた。彼女は私の顔を見て、酷く驚いた様子で「今朝はえらく早い時間に来てたなぁ」と言った。はて、意味がわからない。

私今駅から歩いてきたところやで、と伝えると、彼女は素っ頓狂な声をあげ、今朝見かけたと言い張る。

「ちょうどそのくらいの髪の長さにインナーカラーの入った明るい髪色で、背が高くて……」

そこまで言うと彼女はどうやら間違いに気がついたらしい。彼女が今朝見た「私」は一緒にエレベーターに乗っている「私」と服装が違っていたそうなのである。

 

彼女はことこまかに今朝見た「私のような人」の服装を覚えていた。薄紫のストライプのビッグシャツに、黒のひらひらのロングスカート、黒のハイカットのコンバース、そしてベンデイビスの黒のリュック。

 

次は私が驚く番だった。

その格好は私が先週の月曜日にした服装と全く同じだったのである。

そのビッグシャツもスカートも靴もリュックもしょっちゅう身に付けているものばかりである。だから、友人が服を覚えているのは納得がいくし、その服装で同じ髪型髪色背丈の人がいたら私だと思ったとしても不思議じゃない。

 

でも私は今日、その服装ではない。なにより、彼女が「私のような人」を見た時間はまだ私は家で寝ていた頃である。

友人が寝ぼけていたのかも、と聞いてはみたがそんなわけはないと言うし、先週その通りの格好をしていた私に彼女は会っていない。つまり先週のことを勘違いしたとも考えにくい。

単に、服装を真似されたのだろうかとは思ったがそれもおかしい。

コンバースとベンデイビスのリュックはよくあるものなので持っている人もたくさんいる。

しかし、黒のロングスカートは何年も前の商品で今は簡単に手に入るものではないし、ましてやビッグシャツに関しては地元の古着屋で購入したメンズの商品である。

同じものが手に入るはずがないのだ。

 

さて、友人が見たというその人は一体誰だったのだろうか。